神戸の商売人が娘に教えた「まず売れるもんから売りなはれ」

好きなもんを売るのは、売れるもんを売ってからにし

 

ミサ
今日の名言の主は、私の母です。

富坂登美子(仮名)(1928年12月31日ー )は、神戸の小売り商です。

食料品を商う家に生まれ育ち、第二次世界大戦が終わったあと女学校を卒業した登美子は、疎開先から神戸に戻り、母親と三宮で商売を始めました。

初めは、野球のボールやバケツなど、なんでも売れたということでしたが、登美子が19歳になる頃、婦人服を売るようになりました。

23歳のときに結婚。32歳で妊娠。妊娠を機に店を畳んで専業主婦になります。

娘が1歳を過ぎた頃、登美子は子供用の普段着を売る店がないことで不自由を感じ、「ここで赤ちゃん用の普段着を売ったら売れる」と、住宅街で再び店を始めます。(繁華街まで出なくても買えることがミソ)

約3年で、転居のため店は一端閉じますが、娘が10歳になったとき、手頃な貸店舗があり再び婦人服店を始めます。サラリーマンをしている夫の収入に加えて「いずれは大きな家を買おう」という夢があっての再開でした。

しかし、開店のあと2か月で、夫がガンであることがわかります。

登美子は開店してまもなくの店を経営しながら夜は病院へ通い、看病し続けましたが、約2年の闘病で夫は亡くなりました。

登美子45歳、娘は12歳でした。

登美子の店は好景気もあって繁盛し、娘も短大を卒業させることができました。

登美子は現在86歳で、今も店を続けています。

 

それは雑貨屋を始めたいと言う娘への一言だった

 

タイトルは、『あさが来た』ふうに大阪弁で書きましたが、実際はちがいます。

そもそもこの言葉は、21歳になった私に「将来何がしたいの?」と母が訊いた会話の一部なのです。

 

母親がしっかり者だと、たいてい娘はぼんくらに育ちます。

特に私の母は、娘を自分のような商売人にはしたくなく、「サラリーマンのお嫁さんになって専業主婦になるのが一番の幸せ」と思っていましたから、娘は短大で「国文学」なんてつぶしのきかない学問を学び、万葉集だの民俗学だの、一銭のお金にもなりそうもないことが好きという人物に育っていました。

娘は将来のことを聞かれ、ぼんやりと「雑貨屋なんかがいいなー」と答えました。

婦人服はキレイですが、サイズがあって売りにくいと思っていたからです。その点雑貨にはサイズはありません。

アールヌーボー風のランプシェードとか、きれいな物を扱っていたら、気分良いだろうと単純に考えていたのです。

「そんなん、誰が買うん?」と母。

確かに、私も雑貨店を覗くのは趣味でしたが、買っても部屋に似合わないという理由で、いつも買いはしないのでした。

「家賃かって払わなあかんのに、売れへんかったらアカンやん」と母。

「んー」と答えにつまる21歳の私。(ここで答えにつまるところが、すでにアカンのですがね)

そこで、母が私に言ったのです。

「好きなもんを売るのは、売れるもんを売ってからにし」と。

「たこ焼きとかな、売れるもんを売って、お金を稼いでから、好きなもんを売り(なさい)」

たこ焼きが必ずしも売れるかどうかはわかりませんが、味さえ良ければある程度の売り上げが見込めます。

少なくともアールヌーボーのランプシェードや、陶器の人形よりも売れる可能性はある。

 

遠回りな言い方ですが、ぼうっと夢みたいなことばかり言っている娘に、現実的で堅い方法を教えてくれたのだと思います。

 

商売人は損はしない

起業なんていうと、どうも勘違いが生じるような気がしますが、つまりは商売です。

私が起業したいと言ったとき、親友の一人が「トントンでもいいから、損はせんようにせんとあかんよ」と言ってくれました。

損をしないということは、売れる物を売るということです。

売りたい物を売ろうとして損をするなら、それは商売ではありません。

アールヌーボーのランプシェードを売りたい娘に「それならたこ焼きから始め(なさい)」と言った母は、やはり商売人なんです。

そのあたり、当時、頭がサラリーマン脳だった私には、リアルに理解ができませんでしたがね。

 

リスク管理こそ肝心

商売は水ものですから、当然、損が伴います。売れると思った物が売れないなんてことは必ずあるのです。

だから、全く損せずにと考えるのではなく、手に負える範囲のリスクにとどめる「リスク管理」が必要なんです。

【名言】起業主婦向け?「やると決めたらやり通す」のなかで

何をやっても反応がない。経費ばかりかかって売り上げが無い日が続くと、夫や親の顔がちらついて、胃が痛む。

そんなとき、「やると決めたらやり通す。負けたらあかん」という言葉は、良い気付け薬になりました。

と書きましたが、やってみて間違ったと思ったら引くことも大切です。

株式にも「損切り」という言葉がありますが、ある程度の損が出たとき、それ以上株を持ち続けて損を拡大させないように損は損として売ってしまう、見切りが大切です。

どの程度までの赤字なら続けるかを決めておいて、やめ時、方向転換の時を誤らないようにしなくてはいけません。

 

「やると決めたら、やり通す」の本当の意味

命を受けて生きている間、人間にとって大事なことは、行動(何をするか)ではありません。

大事なのは「何のためにするか」:目的です。

『あさが来た』を引き合いに出しますと・・・

五代友厚さんには日本を近代化させるという目的があって、たくさんの事業を興すという行動がありました。

あさには、日本のためになる高い志を持つ人を資力で助けるという目的があって、銀行を始めるという行動がありました。

その二人にとって「やると決めたら、やり通す」という言葉は、今している事業をやり通すという意味ではありません。

自分が掲げている目的を達成するために、目標から目をそらさずにいましょうという意味が「やると決めたら、やり通す」の意味なのだと思います。

 

名言解説のまとめ

 

  •  商売は黒字になるように商うこと
  •  赤字でも良いと思う時点でそれは「夢」
  •  自分がしたい事業があるなら、それができるように「売れやすい物を売る商売」を先行する
  •  自分が掲げた目的を常に念頭に置いて、達成する努力を惜しまない
  •  安心を得たいのに、かえって不安定な気持ちになる仕事なら、選択を間違っている
  •  間違いを正すことを恥としない。方向転換することも廃業も選択肢に入れておく

 

 

 

4 件のコメント

  • このお母様の話は以前伺っていましたが、こうしてあらためて拝見すると至言ですね!
    直感やセンス、見習いたいところがたくさん。

  • お母様は本当に商売人なのですね。市場・顧客・何を売るかといったことすべてにおいて目利きができる方なのだろうと拝察されます。

    • まっちゃんさん、コメントありがとうございます。
      いやー、目利きだなんて・・・とちょっと照れくさいですが、それができないと商売はできないですからね。イヤホント。
      私は母には反発心しかなくて、あまり評価してこなかったのですが、考えてみれば凄い人だったんだなと思います。でも、商売を続けている人は、魚屋さんでも豆腐屋さんでも、母くらいのことはみなさん考えていらっしゃるし、実行もしていらっしゃるだろうと思います。

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    主婦起業を応援する「起業専門タロット占い師」です。 忘れっぽくても目標を見失わない! 決意と行動をひも付ける手帳「nicca branding diary」も制作しています。