ハルキニヨセテ

ねぇ。夢の中に暮らすなんてことできることだと思うかい?

君の書く小説を私は好きだよ。
「ああここは、六甲山だな。あの病院だな」って、何も書いてなくても思うから。

遠く離れているとね、2系統の市バスさえ、夢の乗り物に思えるんだよ。
ほら、阪急六甲から三宮までの、あのバスだよ。

並木の下をね。
春や、新緑のとき。
台風が過ぎたあとの9月の或る日なんかにね。
ちょっと乱暴に走って行くんだよね。

ねえ。
夢から覚めるのはツマラナイことだよね。
でも、ちゃんとバターとイチゴジャムを塗ってパンを食べるのさ。

ほんとはマーマレードのほうが好きなんだけど、家人がイヤがるからね。

そうして決まりきった時間に机に向かって小説を書く。
夢の中にね、目覚めながら入って行くためにね。

 

 

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